2009年7月15日水曜日

影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか ロバート・B・チャルディーニ (著)




この本、最高に面白すぎる。なかなか文字がぎっしり詰まった本なので、読了するのにかなりの時間を要してしまった。


内容を簡単に言うと、他人に「イエス」と言わせる為の学問。

一つ一つ事例というか検証を行っており、それを通して結論を伝えてくれるので、とても理解しやすい。

営業や他人との交渉する場面が多い人にお勧めする。また騙されやすい人にも是非お勧めしたい。それぞれの手口に対する回避する方法がちゃーんと書いてあったから。

決して悪用しないでね。



以下、面白かったところの要旨を覚え書く。ネタバレ注意。








■「ので」
「コピーを取らせてください」より「時間がないので、コピーを取らせてください」という要求の方が通る。しかし「コピーを取りたいので、コピーを取らせてください」と理由を言わなくても通る。

■知覚コントラストを用いる(拒否したら譲歩)
はじめに無茶難題な要求をして、次に本当にお願いしたい事を要求すると、一度断っているという罪悪感や「前者に比べたら全然いいや」という思いから、要求が通りやすくなる。要求を受けても悲惨。断っても悲惨な状況になる。


■返報性のルール
他人から恩を着せられると、返さなければいけない重圧に耐えられず、相手の要求を飲んでしまう。他人からの恩が、真心からのものであれば、相手が本当に困っている時に返せば良いが、相手がこちらからお金を搾取する事を目的で恩を売って来たなら、こちらも返報性のルールにのっとり、搾取で返せば良い。つまり相手からもらった恩を搾取するだけで返す必要がない。


■一貫性を保つ
一貫性がないということは社会的にみて、望ましくない性格特性。一貫している人は人格的にも知的にも優れていると考えられている。一貫するというのは、毎回考える必要がないので楽である。しかし、一度小さなコミットメントをしてしまうと、一貫性のルールから後に引けなくなってしまい、大きなコミットメントをしなければいけなくなってしまう。さらにコミットメントをパブリックにしてしまうとより強固になってしまう。


■外見性
自分が好意を感じている人に対して「イエス」という傾向がある。見た目で魅力的な人は、それだけで影響力がある。裁判で魅力的な人の方が刑が軽くなる実証もある。顔だけではなく、びしっとしたスーツを着ている場合も当てはまる。また、自分に似ている要素があることも行為を高める要因となる。

■悪い情報
悪い情報をもたらす人さえも嫌われる。その人が悪い訳ではないのに。

■共有
贔屓にしているスポーツチームが勝った場合、「われわれは・・・」というのに対し、負けた場合、「彼らは」になる。他者の業績を自分に結びつけて自分も名声を得ようとする心の現れ。

■簡便性
情報化社会で情報が多すぎると、物事を判断するのに、一つ一つ検証してから決めるのは無理である。故に簡便性を用いる。つまり、周りの人と同じ決定を選ぶようになる。こうした傾向はその他人が自分と似ていると思う場合に特に強くなる。


■希少性
数が少ないもの、期間が限定されているもの、競争相手がいるものについては、価値が高められる。価値が高いものと判定する材料となる。手に入りにくくなると自由を失い、以前よりも自由を欲するようになる。これを理性で押さえるのは難しい。一度、原点に立ち返り、何故自分がそれを欲しかったのかを確認しなければならない。

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