2009年6月26日金曜日

会社はこれからどうなるのか 岩井克人(著)


「法人」ってなに?「会社」ってなに?

学生が終わって社会人になると、大体の人が属する組織だと思うが、意外と知らない人が多いのではなかろうか?

少なくとも私はこの年まで知らなかった。

自分の属する組織がどういう仕組みで成り立っているのかを知らずに実に7年もの月日を費やしてしまった。


本書ではまず、この「法人」とか「会社」というものを中学生でもわかるように、事例を挙げながら説明している。八百屋さんの例えはわかりやすい!

それを踏まえ、資本主義の変遷、バブル崩壊の流れ/原因などを細かく分析しつつ、これから来たるポスト産業資本主義における必要な人材像/会社の仕組みがわかり易く論じられている。

「差異性こそ利益」の話は言われてみれば当たり前のことなのに、言われるまで気づかなかった。

社会人1年目で読んでおきたかった。そうすれば仕事に対する考え方が全く変わったろうに。と思った。

何度か読み直したいと思う。

何気に「小林秀雄賞」を受賞している名著。

2009年6月25日木曜日

組織の盛衰―何が企業の命運を決めるのか 堺屋 太一 (著)

なんと嫁さんが「堺屋 太一氏」を知っていた。
経済学部在籍時、教科書かなにかで知ったようだ。

あらゆる分野において学問は存在するが、組織についての学問というのは存在しない。それを体系化しようと考え、書き綴った本。



前半はケーススタディ。

豊臣秀吉の話、面白かったなぁ。

豊臣秀吉は上昇志向の強い部下を活用し、短期間で天下を統一した。

しかし、そこからはゼロサムゲーム。

これ以上、領地を奪う場所がなくなり、活発な人たちのエネルギーを向ける先がなくなってしまう。豊臣秀吉は短絡的に外国侵略に着手するが成功を見ず、組織は崩壊していく。

何故面白かったかといえば、うちの会社にめちゃ当てはまるからだ(笑)

組織が急成長して安定期にはいると、上昇志向の強い人が組織を破壊する。

つまり私が会社を壊す人になるということだ(笑)

安定型の組織にしなければいけないらしいのだが、まぁ無理だろう



また、組織形態は共同体と機能体とに分けられるという話は、組織戦をやってきた私にとってはウンウンうなずける話だった。私の所属する組織が目指すのは、全体としては共同体だが一部機能体にすべきなんだろうなぁと思う。


あと、ソフトウェア開発業界で働く私は、常日頃、ヒューマンスキル的なものをもっと重視すべきだと考えていたのだが、堺屋 太一氏が提唱するヒューマンウェア(対人技術)という考え方は非常に軌を一にする。


以下、組織をぶち壊す方法が書いてあったので、覚書の為、抜き書く。


■組織の「死に至る病」

 腐敗よりも恐ろしい頽廃
 機能組織の共同体化を招く根本的な原因は、組織倫理の頽廃である。
 倫理には腐敗と頽廃がある。腐敗とは、悪いと知りながらも悪辣な好意が横行する現象である。汚職や権限の乱用、身内人事などは、倫理の腐敗に当たることが多い。これに対して倫理の頽廃とは、何が悪いかわからなくなる現象だ。世間一般では罪悪とされていることが、一つの組織の中では正義と認められているとすれば、倫理の頽廃の極みといえる。いわゆる暴力団はその典型だ。
 ごく普通の組織で起こりやすいのは、その組織が作られた本来の目的から逸脱し、自己の主観的倫理と美意識のみに埋没してしまうことであろう。例えば、工場が安全基準の達成や製品の品質向上に陶酔して、コスト感覚を失うことも珍しくない。ある支店が売り上げを伸ばす為に、同じ会社のほかの支店の活動を妨害していながら、数字の上の伸びだけを喜ぶこともよく起こる。当面の事業達成のために、世の法令や常識を犯して、結果的には全社的損害をこうむった例は、バブル景気の中でも多かった。いずれも長期継続的に利潤を追求する企業の本質から言えば、倫理の頽廃である。
 中でも著しいのは、利潤採算という形で結果の出がたい官公庁や軍隊の場合である。日本の各省庁は、本来、日本国民全体の幸せのために機能すべきものだが、今やほとんどは自省の目的追及だけを正義と考えるようになっている。大蔵省主計局は財政均衡だけを考えて国民経済の均衡を配慮しない。銀行局は金融機関の保護のために預金者の利益を考えない。農林水産省は米作農家と農協の保護の為には、日本を国際的孤立に陥れても平気である。特にこれが激しいのは文部省、厚生省、そして警察だ。この三つは、消費者側の意見を聞くことが無いし、聞く必要もないと思っているからである。文部省(教育)の消費者は生徒、つまり子供である。厚生省(医療)の消費者は病人だ。エリート意識の強い役人が、子供や病人の意見を聞くはずがない。警察にいたっては対象が犯罪人だから、なおさらである。殺人から交通違反まで、警察が手を出せば相手は犯罪者、少なくとも違反容疑者になってしまう。
 この結果、これら三つの分野では、コスト意識がまったくない。教育や医療の費用はどんどん上がるが、それも当然といわんばかりである。警察になると、要人警備のためなら、どれほど交通渋滞を起こしても苦慮することがない。日本だけが、東京赤坂の迎賓館以外でサミットができないという現象を、恥とさえ思わない。自ら明確な責任が降りかからない限り、国民生活の阻害も国威の損傷も気にならないのだから、官僚倫理の頽廃は著しい。
 もっとも、こんなことを指摘しても官僚組織が反省し改革されることはあるまい。それが「悪い」とわからないことこそ、倫理の頽廃なのだから。

2009年6月16日火曜日

なぜ会社は変われないのか 柴田 昌治 (著)

本日、読了。


企業の風土・体質改革をドラマ仕立てで書かれていて、非常に読みやすかった。

うちの職場にも生かせそうな考え方がちりばめられていた。


悲しいことに、覚え書きでメモっていたファイルが紛失してしまっていたorz

がっくりくるなぁ。

まぁ、メモるんじゃなくて、頭に叩き込んでいない私が悪いんですけどね。

また、思い出しながら書いて、本記事に追記していこうっと。
以下、覚え書きなので内容がネタバレです。
本を読もうと思っている人は、Please Return!



思い出しながら追記 2009/06/23
組織において、末端を活性化させるには圧力をかける。
不満が高まることで、末端メンバーの改革精神は養われる。
しかしこれは「不安定な状態」であるので気をつけなければ組織自体が壊れてしまう恐れもある。
そうならない為には、遠慮せずに物を言い合える風土にしなければならない。
「言っても変わらない」とか「言いだしっぺが損をする」という体質を変えなければならない。
また、役職が上がれば組織の安定化を求めてしまいがちになるので、不安定な状態を嫌う意識を改革しなければならない。

2009年6月2日火曜日

バカの壁 養老 孟司 (著)

電車通勤なので読書しているが、目が痛くて本を読めないときは、PodcastとかをiPodで聞いている。

めちゃめちゃ面白かったのが、テレビによく出ている脳科学者の茂木健一郎氏の講演だ。


この中で、茂木氏は「養老孟司が私の師匠」だと言っていた。

養老孟司氏が気になったので、あまり読む気のなかった「バカの壁」を嫁さんにお願いして図書館で借りてきてもらった。


なかなか面白いことが書かれている。

論調や内容は茂木健一郎氏の話にどことなく似ている。

いや、茂木健一郎氏の話が養老孟司氏の話に似ているのだろう。


読んでみて結構反省したのは、最近、本を流し読みしていたこと。

これはまさにバカの壁が私の中に出来上がっていたんだなぁと思った。


あと、個性について、個性を発揮すると社会からはじかれ、精神科に送られるという話は極端だなぁと思った。個人的には、個性こそその人の存在意義なので、そんな極論で否定すべきではないと思いながら読み進めていた。

したら、たしかにそうだ!と思った。ようは、個性を伸ばすことを教える前に、親の気持ち、友達の気持ちを理解することをまず教えた方が遥かにいい。それを教えずに個性を伸ばさせようとしても、世の中で発揮することが出来ない。という。

こういうのを読むと、ぱっと開けたりするわ。