2014年5月4日日曜日

イノベーション戦略の論理 - 確率の経営とは何か 原田 勉 (著)

友がイノベーションというフレーズをやたら推していたので、「イノベーション戦略の論理」を読んでみました。

「はじめに」を読んだだけで、前の会社でもイノベーションを起こす為の企画を立案・実行していましたが、全く以てやり方が間違っているということがよくわかりました。

少し過去を振り返ります。
リーマンショックの煽りを受けて、大手からの下請けが激減・あるいは単価の引き下げが行われました。
私が以前勤めていた会社では、時代の流れに抗おうと色んな試みを行っておりました。
その一つとして、丁度その頃はやり始めたiPhoneアプリの開発にも手を伸ばすべきだと言う声が高まり(というか私の同期の情熱なのですが)、事業企画室という部署が発足します。

この事業企画室というのがいわゆるイノベーションを推進する組織です。
しかし、これまでの仕事の多くは請け負いといって、お客様から作ってほしい要求に答えてシステムを開発するスタイルがメインなのですが、アプリの開発は先行投資型なので、開発者の工数(資金)は別の人が稼いだお金で行う必要があります。事業企画室以外の人は、何故、不況の中、事業企画室に工数を渡さなければいけないのか?という暗黙のプレッシャーがのしかかります。

事業企画室ではなかなかアグレッシブな活動が行われ、あるキャラクターとタイアップしてアプリが1つ出来上がりました。企画の内容(おもしろさ)、知名度、価格設定等々色んな要員がありますが、そこまで売り上げは伸びませんでした。それに対して、社内からは沢山の批判があがりました。

イノベーション戦略というのは、イノベーションの成功確率を上げる事にあります。確率なので、成功確率が20%なら、5回企画したものが1回成功することになります。前述したように1回の成否で判断してはいけません。必ず5回に1回ではなく、「大数の法則:回数を増やせば増やすほど、成功回数が成功確率に近づく」により、数をこなさなければ5回に1回になりません。ある程度数をこなす必要があります。しかも資金が潤沢な時に。資金が不足しがちな不況時に、自社が持っているコア技術などを応用するでも無く、全くノウハウが無いところを突き進めたのは果敢というか無謀というか。

一般的に成功確率は10%以下がほとんどです。本書では、このイノベーション確率を最大化させるためのノウハウを開示してくれています。何度か読み返したいと思いました。


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