2009年7月29日水曜日

プログラムはなぜ動くのか ― 知っておきたいプログラミングの基礎知識 矢沢 久雄 (著)


初心者向けの本ではあるが、基本的なことを非常にわかりやすく書かれており、SEである私の知識の穴をうまく補完してくれた、なかなかいい本である。

2001年だから8年前に出版された本で、日進月歩の情報産業業界では古い?と思ってしまいそうだが、逆にこの本は年が経つにつれ、技術が進歩するにつれ、光を放つ本になるだろうと思う。




引用する。




OSによってプログラマがハードウェアを意識しなくて済むようになったので、プログラマの人口というものも増えました。「私は文系なのでハードウエアのことはよくわかりません」という人であっても、アプリケーションを作成できます。ただし、一人前のプログラマになるためには、基本的なハードウエアのことがわかっていて、それがOSによって抽象化されているため、効率的にプログラミングできるという事実を知っておくべきです。そうでないと、何らかのトラブルに遭遇したときに、それを解決するすべが見つからないでしょう。楽をするだけではダメです。なぜ楽ができるかを知ってから、楽をしてください。

これはソフトウェアとか関係なく、あらゆるものに通ずる原理だと思う。
一人前を目指す、つまり一人で全部やろうという責任感を持った人であれば、法則だけを用いて良しとする程度の心構えではいけない。その法則がどういう原理で、何故そういう結論に導き出されたのかを知っておく必要があるということ。でないと、いざ何か問題があったときに、根拠がわからないので揺らぐ。解決策もまったくわからない。つまり本質を押さえられない人は一人前にはなれないということ。深いな。




他にも引用しようと思ったが、専門的すぎるので、「はじめに」をそのまま抜き出すことにした。何故、この本を読んだ方がよいかやどういう人が読むべきかを的確に説明してくれている。


はじめに
 皆さんの中には、Windowsでコンピュータに初めて触れた人や、Visual Basicなどの統合開発環境(プログラミングに必要とされるさまざまなツールをまとめて提供するソフトウエアのセット)でプログラミングを始めた人が多いことと思います。Windowsのグラフィカルな操作性は、コンピュータを使いやすいものにしてくれました。Visual Basic を使えば、まるでお絵かきツールのような手軽さで、簡単にブログラムを作成できます。思えば、便利な時代になったものです。
 しかし、喜んでばかりもいられません。便利な時代の代償として、ある程度のプログラミング能力が習得できても、技術的にもう一歩スキルアップできないことや、オリジナルのプログラムを作成するための応用力を身に付けられないことで悩んでいるプログラマが増えているのも事実です。この問題の原囚は、ブログラムが動作する根本的な仕組みを理解していないからです。
 「ブログラムのアイコンをダブルクリックすることでブログラムが動作する」などと漠然と考えているようではダメです。メモリーにロードされたマシン語のプログラムが、CPUによって解釈・実行され、それによってコンピュータというシステム全体の制御やデータの演算が行われる」という、本当の仕組みを知る必要があります。プログラムが動作する仕組みがわかれば、オリジナルのプログラムを作成する手段を見い出せるはずです。
 本書は、これからプログラミングを始めたい人、スキルアップを目指す初級プログラマ、および中級パソコン・ユーザーのために、プログラムが動作する仕組みをやさしく解き明かしたものです。本書の基になったのが、日経BP社のプログラミング誌日経ソフトウエア2000年7月号〜2001年6月号に掲載された「プログラムはなぜ動くのか」の連載です。説明の都合上、コンピュータのハードウエアが登場することも多々ありますが、あくまでもプログラムすなわちソフトウエアがテーマです。
 何事にも言えることですが、ものごとの本質を知るのは、とても大切なことです。本質を知ってこそ応用が利きます。新しい技術が登場しても、容易に理解できます。本書によって、プログラムの奥底まで探求し、プログラムの本質に触れてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿